第42回京都市民読書会の概要が決まりましたのでご案内させていただきます。

今回取り上げる作品は、
ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』(東江一紀訳、作品社、2014)です。

本作が第一回日本翻訳大賞読者賞を受賞したことを記念して、そして本作を最後の訳書として昨年の6月に亡くなられた訳者の東江一紀さんを偲ぶ意味も込めて、『ストーナー』を課題本に選ばさせていただきました。

これはただ、ひとりの男が大学に進んで教師になる物語にすぎない。しかし、これほど魅力にあふれた作品は誰も読んだことがないだろう。――トム・ハンクス

「半世紀前に刊行された小説が、いま、世界中に静かな熱狂を巻き起こしている。
名翻訳家が命を賭して最期に訳した、“完璧に美しい小説"」

美しい小説……文学を愛する者にとっては得がたい発見となるだろう。――イアン・マキューアン

純粋に悲しく、悲しいまでに純粋な小説。再評価に値する作品だ。――ジュリアン・バーンズ

『ストーナー』は完璧な小説だ。巧みな語り口、美しい文体、心を深く揺さぶる物語。息を呑むほどの感動が読む人の胸に満ちてる。――「ニューヨーク・タイムズ」

読んでいると、さざ波のようにひたひたと悲しみが寄せてくる。どのページの隅にもかすかに暗い影がちらつき、これからどうなるのだろう、ストーナーはどうするだろうと、期待と不安に駆られ、もどかしい思いでページを繰らずにはいられない。(…)しかしそんな彼にも幸福な時間は訪れる。しみじみとした喜びに浸り、情熱に身を焦がす時間が……。ぎこちなく、おずおずと手を伸ばし、ストーナーはそのひとときを至宝のように慈しむ。その一瞬一瞬がまぶしいばかりの輝きを放つ。なんと美しい小説だろう。そう思うのは、静かな共感が胸に満ちてくるからにちがいない。(「訳者あとがきに代えて」より)

(以上、本書帯より)



少し長くなりますが、布施由紀子さんが書かれた「訳者あとがきに代えて」から引用させていただきます。

 「平凡な男の平凡な日常を淡々と綴った地味な小説なんです。そこがなんとも言えずいいんですよ」とおっしゃったのは、わたしの恩師で、本書の訳者である故東江一紀先生だ。だからこそ訳したいと思いました、と。
 東江先生もまた、ストーナーのようにたいへんなご苦労を経て、翻訳家となられた。後進の指導にも力を入れ、教え子との語らいを何よりの楽しみとしておられた。翻訳家として非凡な才能を発揮し、たくさんの訳書を世に出されたが、癌のため、七年におよぶ闘病の末に、今年の六月二十一日、六十二歳という若さで他界された。しかし病をかかえながらも現実を受け入れ、その中でできるかぎりのことをして自己鍛練に励み、翻訳に打ち込まれた。ご自身のそうした生き方を、いくらかストーナーに重ね合わせておられたのかもしれない。しかし、先生がもっとも共感されていたのは、生きづらさをかかえた不器用な男を見つめる著者のまなざしだったのではないかと思う。精緻な文体で綴られるがゆえに、ストーリーを語る声に暖かさがにじむ。東江先生は本書を生涯最後の仕事として選び、その文体に挑まれたのである。
 亡くなられる一ヶ月ほど前には、本書の翻訳は残り五十五ページのところまで来ていた。緩和ケアに入られてからも、先生はご家族の献身的な看護を受けながら翻訳に取り組まれた。万一のときはあとを頼むと託され、わたしが毎日、先生からメールで送られてくる原稿をお預かりした。校正作業をお引き受けすることで、ご負担がいくらか軽くなればうれしいと思っていた。先生は少しずつ、わずか数行しか進まない日があっても、休むことなく一語一語をいとおしむように訳してゆかれた。最後は意識の混濁と闘いつつ、ご家族に口述筆記を頼んで訳了をめざされたが、とうとう一ページを残して力尽き、翌日に息を引き取られた。壮絶な闘いぶりだった。
 人は誰しも、思うにまかせぬ人生を懸命に生きている。人がひとり生きるのは、それ自体がすごいことなのだ。非凡も平凡も関係ない。がんばれよと、この小説を通じて著者と訳者に励まされたような気持ちになるのは、わたしだけだろうか。
 アイルランドの作家ジョン・マガハーンは、二〇〇三年にヴィンテージ社から刊行されたペーパーバック版に序文を寄せ、この作品にひとつの中心テーマがあるとすれば、それは「愛」だと書いている。「さまざまな形の愛、それに敵対する力」だと。
 読者のみなさまにも、ストーナーの人生をともに生き、その「愛」を受けとめていただきたいと思う。必ずや読後は、何か温かいものに包まれていることにお気づきになるだろう。



たくさんの方のご参加をお待ちしております。


日時:5月24日(日)午後2時より(午前の部がある場合は午前10時より)
場所:京都市内のカフェ
予算:各自の飲食代のみ(お店を貸切にする場合は別途場所代500円程度いただく可能性があります。高校生以下は場所代不要。)
定員:20名。但し、参加希望者が多くなった場合は、午前にもう一枠設けてそちらでの参加をお願いする場合があります。午前の部が開かれるか否かについては読書会の一週間前に申し込みしていただくか、お問い合わせしていただいた方にご連絡させていただきます。
参加方法:下記の京都・大阪市民読書会のメールアドレス宛に件名を「『ストーナー』読書会参加希望」として、次の3点を記してご連絡ください。
①読書会での呼び名(本名orニックーネーム・ハンドルネーム)
②京都府内在住か京都府外在住か
③午前の部に回る可能性があっても構わないかどうか。
(例/①ゆたか②府外在住③午前でも可)

京都・大阪市民読書会twitter: @KyotoBookClub 
京都・大阪市民読書会e-mail:japanbookclub@gmail.com
京都・大阪市民読書会blog: http://kyotobookclub.blog.fc2.com/
過去の課題本: http://kyotobookclub.blog.fc2.com/blog-entry-21.html

ご質問などはメールでお気軽にお問い合わせください。

【読書会の進め方について】

読書会の初めに自己紹介の時間を設けさせて頂きます。
ごく簡単にでかまいませんので「課題本の全体的な印象」と、もしありましたら「他の参加者に聞いてみたいこと」の二点をお話し下さい。
それを念頭に置いて、参加者全員で気になるところを具体的に取り上げながら作品を辿り直していき、最後にもう一度作品全体についてお話できたらと思います。
部分と全体を往復しながら一冊の本を「共に」読んでいくことは、「一人で」する読書とは違う面白さがあると思います。
作品の声を皆で共に丁寧に聴くことで、同じ作品を共有する他の人の声を聴くことのできる、「耳澄ます場」にしたいと思っています。

初参加の方も京都市民でない方も大歓迎です(毎回初参加の方も京都府外の方も多いです)。年齢も問いません。
これまでの参加者も学生から主婦、会社員、15歳からから60代までと幅広いので、自分は場違いではないだろうかなどとためらわず気楽にいらっしゃってください。

本が好きな方々と素敵なひとときを過ごせるのを楽しみにしています。


*本会は異業種交流会や婚活パーティーの類ではないので(それらを否定するつもりはありません)、本を離れて他の参加者のプライベートを詮索することはご遠慮ください。
*読書会内外でいわゆるヘイトスピーチとされる発言をする方の参加はお断りします。国籍や出身地・職業を問わず、誰もが安心して楽しく参加できる読書会にするためです。
*参加申込後にキャンセルする場合は必ず連絡していただくようお願いします。会の運営に支障をきたすとこちらが判断する場合、今後の参加をお断りする場合があります。

京都・大阪市民読書会連絡担当 ゆたか
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